たばこの煙に胃酸を搾り出している間にあの子は難しい歌をまっすぐに歌っている
どこへだっていけるはずで生きたい場所があるはずでそれでも床を這いずることしかできなくてだからわたしは猫になれるはず
そばにいてほしいときに独り
指先からほとばしる力で音を鳴らせていた気がして今はエネルギーの放出はどこにも見当たらない
わたしと話すときにそんなところみせなかったのはあの子の策略であると考えてみるといい
人に自分の全てを開示しているわけじゃないのは誰だって同じだよだから言葉で膜を張って壁を造って城を建てる
いつになったらわたしから出た迷子の言葉たちが収まるべき場所に収まるだろう
ごめんねわたしへわたしのわたしをそこへ運びほかではならないわたしが受け取るから
さあさあ無駄に文字を並べていないで韻を踏むの
人の言葉に身体の奥底からひゅっとなったことがあるよそれはなによりも深い底なしの穴
1番みたくないタイミングで1番みたくないものが目に耳に飛び込んでくるのを止められなかった
どこからともなくやってきたあなたたちへ
そこらへんのとか言ってそこらへんのものより上に立とうとするなよそこらへんのものがなかったら